税理士事務所は、拡大路線か税理士一人か②

　税理士として独立開業した場合、クライアントの数が足りず、「何とかしてクライアントを増やしたい」と考える方が多いと思います。
　その後、ホームページ集客や紹介などで定期的に新規のクライアントが獲得できるようになったとします。そして、自分の仕事量は既にある程度埋まっているとします。
　この状態にあって、「仕事が一杯なので、残念ながらお仕事を引き受けることができません」と言えるでしょうか。
　選択肢としては、①従業員を雇って仕事を引き受ける、②多少無理をしても自分が担当する、③断る、だと思います。
　恐らく、①か②を選択する税理士がほとんどだと思います。

　サラリーマンでも、先輩や上司になることはできます。
　しかし、「自分の給料から従業員に給料を支払う」という経験は、起業して、かつ、従業員を雇った方にしかできません。
　自分の給料を減らして従業員に給料を支払っているため、従業員の教育や従業員の仕事量については否が応でも敏感になってしまいます。
　しかし、一般の方では中々経験することができないため、とても貴重な経験だと思います。

　従業員の採用や教育、管理は本当に大変です。
　売上を確保することよりも、こちらの悩みの方が大きいと感じています。
　「自分と将来は変えられるが、過去と他人は変えられない」とは上手く言ったものです。
　また、従業員が結婚しお子さんが生まれたり、また、ローンを組んで高額な住宅を購入されたりすると、従業員を雇っている経営者として責任を重く感じるようになります。

　一般の方や税理士との会話にて、「従業員は何人いるの？」と聞かれることがあります。
　そして、「○○人雇っています」というと大体驚かれ、かつ、「凄いね」と言われます。
　「自分で従業員を雇っている経営者」に対しては、一般の方からも一目置かれるのかもしれません。