税理士事務所は、拡大路線か税理士一人か①

　税理士事務所の拡大路線を選ぶ場合には、従業員分の仕事（クライアント）を獲得する必要があります。
　よって、仮に従業員分の仕事（クライアント）を獲得することができないのであれば、そもそも拡大路線を選択するという選択肢がないのです。
　税理士紹介会社やホームページ集客などにてある程度クライアントを獲得することができるかどうかの確認が必要となります。

　岡本税理士事務所では従業員を雇い、拡大路線を選択しているのですが、拡大路線を選んだ最大の理由は「売上減少時に備えて」になります。
　従業員を初めて雇った時点では、ホームページによる集客がある程度上手くいっていましたが、世の中はそれほど甘くないので、「いずれ集客ができなくなる」と考えていました。
　また、拡大路線を選ぶメリットの一つに、自分が長期入院などしても、従業員がある程度クライアントの対応をすることが可能ということがあります。
　お一人で税理士事務所を運営する場合には、何かあった時に頼れるよう、お知り合いの税理士に予めお願いしておくことをお勧めします。

　これは、一人税理士事務所のメリットになります。
　拡大路線を選び従業員がいる場合には、従業員の管理・監督が必要になりますので、いつでも好きな場所で好きな時間だけ仕事をすることはなかなか難しいと思います。
　また、拡大路線を選択した場合には、従業員のミスのカバーや質問にも答える必要があるため、自分のスケジュール通りに仕事が進まないということもあります。
　拡大路線を選択したばかりの状態におきましては、「週末（土日）は一人で残務を処理している」という話もよく聞きます。

　少ない勤務時間で高収入が得られれば理想的だと思います。
　最もこの理想に近いのは、拡大路線を選択した税理士事務所で、かつ、税理士事務所の運営が軌道に乗った時です。
　イメージとしては、従業員が10人以上おり、かつ、各従業員が自分の仕事を自分でこなせる状態です。ただし、この時点に到達するにはとても努力が必要です。
　次に、この理想に近いのが一人税理士事務所だと思います。税理士が自らクライアントを担当するのであれば、ある程度の単価が取れ、かつ、従業員を管理・監督する必要がないためです。
　もっとも理想から遠いのが、拡大路線を選択し、従業員が給料分の仕事をせず、かつ、管理・監督がとても大変な状態です。この場合には、規模の割に給料が取れないばかりではなく、勤務時間も長時間になります。

　クライアントに対してです。
　拡大路線を選択した税理士は、拡大路線を選択した理由について「従業員を雇わないと、従業員を雇っている一般的なクライアントと同じ立場で話をすることができない」と言います。
　一方、一人税理士事務所の税理士は、「クライアントは自分自身が責任を持って1から10まで全て自分で対応したい」と言います。
　決して、一方が正しく、一方が間違っている訳ではないと思います。
　皆さんは、どちらの意見に共感されますでしょうか。